人生のストーリーを再構築する(ナラティブ)
こんにちは。中嶌ゆみです。
Voicy(ネットラジオ)にて、「40代から人生を変えるラジオ」(ミアビータ)の金曜日朝8時のパーソナリティをしています。放送でお届けしているテーマをもとに、コラムもアップしていきます。
このコラムの最後に音声で聞くこともできます。(15分~20分)
1.キャリアに悩んでいる時こそやってみて欲しいこと
今日は、キャリアについて悩んでいるときこそやってみて欲しいことがテーマです。普段、企業様でキャリア研修の講師をしています。先日行ったのは、30代の方と一日の「対話」を通して自分のキャリアをみつめて、未来のキャリアをデザインする研修でした。
研修の最後に頂いたご感想の一部をご紹介します。
・「人と話すことで、自分のキャリアを客観視することができた。」
・「自分のよさ・強み」を把握することは難しいのですが、それに気づく時間になった」
・「人と話すことで自分のキャリアを上手く見直せました。頭の中にあることを出すことの大切さがわかりました。」
そうなんです!
キャリアに悩んでいる時ほど、やってみて欲しいことは、「人に話してみる」「一人で頑張らない」ということです。すごく頑張っている優秀な皆様だったので、これからのキャリアについては自ら考えてはいたと思います。
しかし、「キャリアは一人で考えてもなかなか前に進まない」という特徴があります。キャリアにモヤモヤするときこそ、人に話すことをお薦めします。そうすると、自分の強みや経験の捉えなおしが出来ます。
2.キーワードは、「ナラティブ」(語り手の視点で自由に紡がれる物語)
また最後の感想の時に、「ナラティブな対話はいいな!」ということを話された方がいました。
あなたは、「ナラティブ」という言葉聞かれたことがありますか?
私は、お恥ずかしながらなんとなく聞いたことがあったけど詳しく分からなかったので、「ナラティブ」の意味について調べてみました。もしかすると、「ナラティブアプローチ」という言葉の方が、教育やビジネスの世界で知られているかもしれません。
ナラティブ(narrative)は、「物語」や「語り」などと訳される言葉です。「ナラティブ」とは、語り手の視点で自由に紡がれる物語のこと。
ナラティブとストーリーの違い
ナラティブは、物語や語りと訳すことができますが、同じように ストーリーも物語と訳されます。
ストーリーが物語の「内容そのもの」を指すのに対して、ナラティブは物語の「語られ方」を指します。
ストーリーを重視したアプローチでは「何を語るのか?」に着目するのに対して、「ナラティブ」では、誰がどのように語るのかが重視されます。また、ストーリーは語り手によって変化しません。一方、ナラティブは同じ事象でもどう語るかは語り手によって異なり、完結しない場合もあります。
まさに私がキャリアカウンセリングの場面や、研修で登壇者の方とのインタビューのワークをする時などやっている大好きなことでした。これまでの経験や出来事をどう感じたのか自由に話して頂くことです。
このナラティブを提唱しているマーク・サビカス博士のお名前をみて、キャリアカウンセリングの資格取得時に、たくさん習った理論の中にあったことを思い出しました。(継続学習を頑張ります・・・!)
マーク・サビカス博士は、ナラティブアプローチ・社会構成的キャリア理論で有名な21世紀を代表するキャリアの理論家。
キャリア・カウンセリングではサビカスが提唱する社会構成主義を背景にしたナラティブアプローチが重要とされている。すなわち、内的キャリアを充実させ、どんな仕事であれその意味を、自分の経験や人々とのかかわりの中で見出していくために必要な「物語」を生み出すというアプローチである。
ナラティブアプローチのベースになっているのは「社会構成主義」という考え方です。社会構成主義において、この世のありとあらゆるものは、個人の頭の中でつくり上げられたものであり、人々の対話によって意味がつけられると考えられています。だからこそ、ナラティブアプローチでも相手の物語を尊重し、対等な立場で向き合うことが重視されているのです。
3.ナラティブで、新しい物語をつくる
キャリアカウンセリングの場面や、研修の中で「自分では、たいした経験もない、誇れるようなスキルもない」と捉えている方が多いです。あなたもそう感じることはありませんか?
しかし、実際その経験を聴いていくと「本当にスゴイ」と感心させられることがよくあります。
色々な転機や出来事をどう感じてどう行動をされて乗り越えてきたかということに、オリジナルの物語があり宝物がたくさん詰まっていると思います。しかし、自分の中だけにしまっているとその宝物や別の捉え方に気がつかないまま、モヤモヤしてしまい悩むのではないかと思います。
そこで本日のテーマでもある「人に話すこと」をやってみて欲しいのです。自分の視点からで大丈夫です。相手が違う視点で今置かれていることをみてくれることがありヒントにつながります。
また、あなたが他の方のお話を聞く側になったときのナラティブアプローチのポイントがあります。分かりやすいサイトがあったのでこちらでも紹介致します。
日本の人事部 ナラティブ・アプローチ
スマカン ナラティブとは【ビジネスでの意味を簡単に】アプローチ例や注目理由も(引用)
ナラティブアプローチには決まった手順があります。その進め方とポイントを紹介します。
1相手が話す物語を聞く
2問題を客観的に捉える
3さまざまな角度から質問する
問題を見つけたら、質問によって内容を深掘りしていきます。
一般的なカウンセリングのように、問題解決に向けて誘導する必要はありません。あくまでもさまざまな角度から相手の物語の詳細を引き出すことが目的です。
4例外的な話を見つける
5新しい物語をつくる
例外的な話を見つけたら、そこに焦点を当てて質問を繰り返し、さらに深掘りしていきます。そうすることで最初の物語とは異なる、新しい物語がつくられます。こうして相手が勘違いや思い込みを排除した状態で問題を客観視して、以前とは異なる角度で前向きに捉えられるようになることがナラティブアプローチのゴールです。
やはり「質問をする」ということが大切ですね!物語を理解するためにも、しっかりと質問をしながら聞いてみると勘違いや思い込みに気がつくことがあります。聴く側としても、怖がらずに質問をしながら相手との相互理解を深めていけたらと思います。
4.新しい物語は、前に進む力になる
まとめになりますが、キャリアに悩むときはまずあなたの中にある物語を人に話してみましょう。自分一人ではみなかった新しい物語が見えてきます。私は、このオリジナルの物語を聞かせて頂くことが大好きなことです。それはかけがえのないあなただけの物語だがらです。だからこそ物語をまた自分の力にしてあなたらしく一歩前に進む力にかえて頂ければと思います。
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